お役所仕事の今昔

お役所仕事、といいつつエポックメイキングな法改正で、昨日と今日の景色が180度違う、という変化だって起こりうる。
遠 州地方が望んだ、外国人登録法の廃止、それとセットの改正住民基本台帳法が始まって3ヶ月経つわけで、成果が実感できるようになってきたところ。この法案、たまに売国とか民主党とか言われる気配がありますが、僕の立場からすれば、「外国人集住都市会議の悲願」です。どちらかと言うとターゲットはニューカマーの日系南米国籍者や外国人妻です。
遠 州では一時期どこの市町村も5%ほどの外国人を抱え、外国人登録法では定住外国人を管理しきれなくなっていました。確かにオールドカマーの在日コリアンの方の存在があり、永住外国人は何とか慣例的に管理できていたっぽいのですが、ニューカマーの特徴としては、1、異動が頻繁にあり、母国と頻繁に行き来する 2、日本語での手続きが難しい というのがある。外国人登録制度の中では、市町村間の異動にともなう手続きの遅延・遺漏や海外転出時の情報把握の恒常的な遅れ(長いと3年ぐらいかかっていた)という状態にあり、実態を管理できていたとは言いがたかった。別の部署では就学適齢年齢でも未就学の外国人が問題になっていたし、彼らの正確な住所すら把握できていなかった。
外国人登録制度が廃止され、外国人の外国人としての管理事務は入管に戻ったわけで、そのへん担当してないから詳しくないけれども、彼らが今まで記載されていなかった住民票に載るようになったおかげで、それを利用する他事務の担当者は非常に事務に資することになった。
1、世帯単位での把握が容易に。
外国人と日本人の混合世帯も、今までは接続が完璧ではなかった。外国人登録は本人出頭が基本だったため、混合世帯のみならず、外国人世帯も、本人が出頭しない、または委任の要件に不備がある、等の理由で異動が漏れ、正確ではない状態の把握になる場合も多かった。現制度では住民票の異動届として日本人と同様にすればいいため、漏れが減った。住民の利便性としては、住民票を取るときに、世帯票で同居の確認ができるようになった(今までは住民票は別に取らなければいけなかった)。
2、転出に伴う、市町村住民でなくなるという処理が確実に。
日本人は別の市町村に転出する時に、転出届が必要だったが、外国人登録制度では、「登録」であるために、暫定的な届けである、転出届は不要だった。ただ、転出届がないということは、その市町村の住民でなくなる手続きができない、ということを意味し、日本人であれば転出時に、市町村国保の脱退等、住民票と連動する手続きができるのだが、外国人はそれができていなかった。それによって国保では対象者の把握に遺漏があり、事務の妨げとなっていた。海外転出時は特に、外国人本人が申し立てても、国保の資格をなくすことはできず、入管から出国の通知がくるまでは外国人登録は削除されないため、国保の資格もそのままになっていた。現在、海外転出して不在であれば、住民票の手続きとして、職権で住民票をなくすことができる。
このように、外国人登録法の廃止→住基法改正 によって、事務の現場では非常に変化が起こっている。世界は変わる。しかもこれは必要とする人が必要だと声をあげることによって起こった変化だと僕は思っている。実は行政にはそのような変化は連綿と起こっており、ほぼ全ての制度は連続的な改正の中にある。住民票で言えば、原則公開から原則非公開に変わり、取得に制限が設けられるようになったことがエポックメイキングな変化だし、僕が現在担当している国保でいえば、介護保険が作られたこと、後期高齢者医療制度が作られたこと、年金からの保険料天引きが始まったこと、非自発的失業者に保険料軽減制度が作られたこと、など、どんどん制度が改善されている。

止まっているわけではないのです。