私権を制限すること

行政ときたら、嫌なことを誰かに言う仕事でもあるというか、そういう人に「うん」と言ってもらうのが仕事って感じでもあるよね。
私権を制限する、ということは主に行政に付託されているようなことだ。法律の徒でありながら法的なとこは適当にして言うけど、誰かの自由な権利を制限する権利を行政は与えられているという感じがあるな。
行政も私権を制限したいわけではない。
もっと言えば客層―――民間の方が日々対峙している方たちと変わらない―――というものが割とクレーマー的なとこはあったりもするわけです。いいとか悪いとかではなく、日本を世界でも稀なサービス完璧主義大国に叩き落としているのがこの世界一厳しい客層たる日本人っていうステレオタイプな言説をここに持ってきますが、そこに晒されているのは我々も同じです。お客様は神様ですという人あれば、公務員にとっても住民は神様になるのです。例えば、自称であっても。
そういう淘汰圧みたいなものが我々行政マンを作っていくわけですが、私権の制限しんどい。
例えば10人にそういう網を投げた時、当たりが一人いたりします。僕らとしても当たりがどこにいるかわからないので、もういる前提で仕事をします。今まで温厚だった人が、君子豹変すと言いますが、元来の意味は君子は頭が切れるので豹変して素晴らしいことをするって意味らしいですが、君子豹変して僕ら行政マンけちょんけちょんのパーということは起こります。そういう中で無駄な準備であるとか、アフターケアとか気を使うところです。
行政の非効率、というものが叫ばれたりする昨今ですが、チキンたる公務員、ガクブルしながら私権の制限に対して色々な準備をしています。前例踏襲というのもそういう点がありますが、あとはやはり法的なリテラシーの醸成というか、法律を読んで大きく強くなろう!というのがチキンさんの心の拠り所でして、法的な作法には異常に敏感になります。そうしてはじめて人に怒られたり嫌われたりする仕事ができるというものです。