都市の進化

土木のお仕事、と言いますか、私のもう一つのお仕事は、「都市計画道路の建設に関わる土地の買収」みたいなことになるのですが、前任者の続きから入るので、実際に用地交渉とかに入るのはまだ先のようです。それはそれとして、都市計画道路を絡めた話を。
道路ってのは皆さんご存知のものかと思いますが、通行したり、排水したり、給水したり(水道管が埋設されたり)、いろいろな機能がありますが、都市計画道路というのはそういう現実の道路ではありません。いや、もちろん現実に道路になっているところもあるのだけれども、「計画」段階の道路もまた多数含まれます。都市計画道路ってのはその都市の「そーおだったらいいのにな♪」という理想のルート(道路用地の中に民家があろうが何があろうが関係ない(こともない))で地域間をフリーハンドで繋いで決めているものです。
道路ってのは闇雲に、例えば今日「僕が考えた最強の道路」を役所に訴えればできるってもんじゃあないです。地元で纏まって「こううれば問題解決になる」って訴えるという形もあるけれども、基本はこの都市計画道路以外は無茶な新設ってしないと思います。
で、都市計画道路ってあまりに理想過ぎて、実現が困難だったりします。家を軒並み薙ぎ倒すルート、河に橋をかけ山を崩すルート、こういうのは非常に実現が困難。てなわけで、実際何十年も前に決定されたまま、一向に整備されてない非実在道路が多い(この点、非常に批判は多いけどね)。そうではあっても、今作ってる道路はこの都市計画道路だったりする可能性は高いのよね。
で、この都市計画道路は各自治体のホームページ等でも割と公開されているはずなので(都市計画図とかね)、自分の住んでいるところの計画を見ることも可能です。あの工事している道路、実はここまでしか道が作られる予定がないとか、え、あんなとこまで計画があるの、とか、見れるはず。
都市計画ということで言えば、街の姿はある程度計画がされている。何にも考えていないように見えて、行政はある理想形へ向けて都市の整備を進めている。地区には性格や規制や投資されたものがあり、そういう制約から一応の計画というのは立てられているのだ。
と、いうお話と、都市の賞味期限のようなお話と。都市の整備は簡単なイメージでは30年以上前から行われていて、初期の整備はかなり賞味期限が切れ出しているのだ。そういうところの道路を回ると、現在ではあまり人気がないような区画になってしまっている。道が狭い、高低差がきつい、地盤が悪い、敷地が狭い、等々。例えばこのへんで車が1台しか停められないとか今では考えられないしね。
昔は土地神話のようなものがあって、買えば上がるとか土地は財産的なところがあったが、今の視点からはそういうところの土地を買いたいかというとあんまりな感じになってしまう。前記事のように土地ってのはどんどん生まれるものだ。農地はどんどん減少しているし、はっきり言えば市街地の農地は減少させねばならぬ。重機の進化はきっと山をもっと切り崩し安くするだろうし、田をもっと地盤改良するようになるだろう。宅地化できる土地は増える。都会であっても、大阪の梅田北ヤードのように都市機能の整理や集約によって生まれる土地もある。建物の高層化もある。
このように、都市というものは、計画から整備されるものでもあり、時代の経過によって整備されるものでもある。都市は思っている以上に変わる。都会であれ田舎であれ、ですよ。それは「整理する」というのが都市の本質だからだと思うのです。