「扶養控除、配偶者と娘どちらに入ればお得?」を読んで何かを書く

扶養控除、配偶者と娘どちらに入ればお得?

これねー。市職員かつ国保税担当としては微妙に絡みたくなるんですよねー。

 72歳の父と67歳の母と同居。父はアルバイト収入があり、母を扶養として配偶者控除を受けています。私の収入は300万円未満ですが、父より若干多いです。母を扶養に入れるのは、父と私のどちらがよいでしょうか? 所得税地方税などに差額は生じますか?
 また、母は父の国民健康保険に加入していますが、私の勤務先の社会保険に切り替えた場合、金額的な違いはありますか? いずれは二人とも私が扶養することになりますが、現時点でいずれの扶養が有利か教えてください。(T.T 37 佐賀県

これズバッと答え出すには情報が不足しすぎなんですよね。まず父の所得が全くわからない。年金を含んでいるのか、含んでいないのか。これで全然違う。もし年金含んで300万円未満とすると、どんだけ多くても所得は公的年金控除120万円と給与所得控除65万円を引いた115万円になるんですよね。まあそれでも所得税計算上は父でも娘でもどっちに扶養つけても同じではあるでしょうね。どっちでも同じなのに父につけるのを勧めるのがよくわからない。

ところでこのモデルケース、ちょっと条件を変えるだけで結果がどんどん変わってくる。例えば3年後の話です。3年経つと父75歳、母70歳。こうなると娘から母を扶養に取ると、同居老親の加算があるので10万円分控除が得になります。所得税市県民税合わせて約1.5万円分減るでしょう。ついでに父は後期高齢者医療保険ですから、もし母を健康保険の扶養に取れるならこんなにいいことはありません(健保詳しくないけど、こういう場合扶養に取れるのかしら。そもそも最初の条件でも取れるの?)。

しかしこの場合でももう少し条件を変えるとまた変わる。父の収入が減って287万円以下になった場合だ(もしかすると当初の条件でもそうなるかも)。さっきのように所得を計算すると102万円以下ということになり、ここで誰かを一人扶養に取ると、住民税所得割が非課税になる。仮に控除が基礎控除配偶者控除と社保控除20万円だけだとすると、2.6万円ぐらいの所得割が加算されなくなるので、上記の1.5万円分の減より有利かも。

で、72歳の父と67歳の母に戻ってまた事例を弄る。国保税についてなんだけれど、国保税は自治体によってさまざまですが、所得の少ない人に対する均等割(個人に対する固定加算額)と平等割(世帯に対する固定加算額)の軽減措置があって、この事例だと所得が57.5万円以下だと母も国保に入った方が国保が安くなるという逆転現象が生じる自治体もあります。具体的には年金が135万円、給与が120万円の場合を想定してみます。年金所得は15万円ですが、15万円分謎の特典があるのでなくなります。給与所得は55万円なので5割軽減が該当するようになります。父一人で入ると2割軽減しか該当しないので、母も入ったほうが安くなるという現象が起こったりします。このへんは国保制度の複雑怪奇なところなんで説明が難しいですが、制度の運用者としては実際に確認することがある事例です。

わかりにくいんでまとめると、父の年収が255万円以下なら母も国保に入れたほうが、全体の保険料が安くなる場合もある、ということです。

一点気になるのは、国民健康保険の被扶養者なんてものは存在しないんだよ、っつーことです。

餅は餅屋と言いますが、さすがに国保税と住民税については、税理士さんより詳しいと思うな。