住民情報システム2.0

私の書いた日記で、一番ブクマがあったのがこれなんですが、3年半経って、色々状況も変わってきている。まあ私も部署が変わったので、何とも言えないところがあるが、主な変化は、昨日今日と書いている、外国人登録法の廃止=市役所に写真持ってきて貰わないようになった、ということと、一番下に書いてあるACOSからCOKASになったってことです。今年からのことです。
COKAS(R/AD?)とか言っても僕もよくわからんのですが、一応メインフレームからオープン系に変わった、ということですね。会社は同じなんだけど。
おっと、のっけからもう専門用語でわけわからん感じですが、つまりは市町村が主に使っている、住民情報システムって、ITベンダが出しているパッケージなんですね、大なり小なり。各市町村、やってることや基本となる法律は一緒なわけだから、各ITベンダが基本パッケージを開発して、それを市町村が買う(そして保守orカスタマイズする、ところで金を取られる…)という形になっている、と。
メインフレームからオープン系へ、っつーのは金融機関なんかでも同じような話があるようなんだけど、クラウドへ、っつーのも含めて世の趨勢です。メインフレームは汎用機っつー、大型特殊計算機なんだろうけど、それに対してクライアント(業務で使う個人ごとのPC)がアクセスするっていうまあ詳しくないのであんま深入りしませんがそんな感じなのに対し、オープン系ってのは、厳密な定義は難しいけど、分散系というか、メインに汎用機があるわけじゃなくて、個人ごとのPCにソフトウェアが入っていて、データにアクセスするっていう感じかなー。
まあ詳しくないなりに、手触りの話をすると、今まではメインフレームにデータを覗かせてもらっていた、という感じから、ウィンドウズのアプリケーション、というかwebアプリケーションで、直接データの束を、ろくろを回すように触る、という感じに変わりました。(ちょっと違うけど、コマンドプロンプトみたいなものから、普通のwebアプリケーションになった感じ)
結局はパッケージの差、というものもありますが、よりデータを主体的に扱えるようになったという感じです。運用も変わりまして、IT担当に処理を依頼するのではなく、パッケージの中でバッチ処理を選択することで、業務上の一括処理やデータの抽出が行えるようになりました。
現在システムが変わって特に重宝しているのは、データの抽出が簡単にできる(csv形式で吐き出せる)ようになったこと。それを用いて色々なチェックが可能になり、全データの確認等をしなくて済む場面がでてきました。データの並べ替えや、データとデータの突合せも、csvデータが吐き出されれば可能になります。access等、データベースソフトを使えば、さらにデータ処理はやりやすくなります。
個人に関するデータ連携も、パッケージの中で強化されています。個人に対しては色々なものが紐付けされていますが、それらが業務で必要な範囲で、割とすぐわかる。例えば住民票情報に対して、各税毎の課税状況、納付状況、等が(前システムでももちろん紐付けはされていましたが、利活用の面でやりにくいものでした)すぐに参照可能な状態で紐付けされており、業務で立体的に状況を把握することが可能です。さらに、これは別システムで、今年から導入されたものですが、トーマスという紙ベースの課税資料をスキャニングして個人と紐付け可能なシステムにより、アナログデータの参照も容易になりました。
行政の現場では、方向性として、あらゆるものがデータベースに格納されるように進んでいます。そしてその間が紐付けされるように、業務ごとの番号が作られ、それぞれ連携していきます。ある意味ではgoogleが「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を使命としてやっていることを、行政分野でも行政なりのやり方で、進めていると言えるでしょう。逆に言えば、行政ですら、googleのような世界的企業が乗った潮流から外れることはできない。
行政が行政である、責任というか力の源泉というか社会的意義というか、それはこの巨大な個人情報の束だと思う。今システムが変わったことによって、今までブラックボックスの向こうにあったものが、何かしらの手触りを持って、眼前に現れてきた。これはもうこの個人情報の束のことをマジに考え続けるしかない。利活用や使用の制限、そして法的な理解。これらが今行政の課題となってきていると思うのです。