誰が誰を扶養している?

前回の記事で書きましたが、「捨てるなら下さい」の問題は、各市町村としても認識することになりまして、何か対策が必要かなあ(でも、どんな?)、というところまで来ています。蓋を開けるまではどうなるかわからないところでして。
「捨てるなら下さい」がどんな問題かと言うと、「年末調整では所得の多い夫側に、16歳未満の子を扶養しているとして提出したけど、何の意味もないというのがわかった。で、所得の少ない妻側にその子たちを扶養につけると妻が住民税非課税になるのがわかったから、そういう申告をしたい」っていう問題。僕はあまり仕事上関与してない問題だけど、通常市町村に扶養の付け替えだけで申告するってのは想定してないから、普通に受けていいもんかどうかを考えているところのようだ(事実誤認があったらすみません)。
一応こっちで想定している事例は夫のほうが所得が多い夫婦と子ども世帯で、例えば子どもが3人で奥さんが年間の給与収入270万円以下のケース。この場合、奥さんにこの子どもの扶養を付け替えると、住民税所得割が非課税になり、はっきり言ってむちゃくちゃ得になる。概算で12万円ぐらい得になる、っていう割とガツンとした効果があるのよね。
とまあこのへんは一応前回の記事でも説明したところ。で、今回は誰が誰を扶養しているのかに関して。
こういう損か得かの話もあるけど、実際は父か母か、どっちが子どもを扶養してるのよ?それを申告するのが本来なわけでしょ?でもねえ、そういうの行政からは判断できないのよ。実務上は、同居だったら本人が言うとおり。同居の叔父さんを扶養してるつっても「違うんじゃね」とかいう調査能力は行政にはないわけ。
別居してるものを年末調整とかで扶養にする場合は、国税庁は一応こう言ってる。

別居している者を扶養控除の対象とするためには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが必要となります。法令上、源泉徴収義務者に対してこれを証明する書類等を提出することまで必要とされているわけではありませんが、正しい扶養控除の計算を行うためには、銀行振込や現金書留により送金している事実を振込票や書留の写しなどの提示を受け確認することをお勧めします。

まあ、調査してないよね。外国にいる姓も違う子どもの扶養なんかは、割とチェックされるかもだけど、田舎の両親ぐらいだったらそこまで言われないかも。あと、電子申告とかするなら言われることもないと思う。
というわけなんで、「誰が誰を扶養?」とか言ってもはっきり言って、「誰を扶養とすれば得か」って視点しかないわけよ実際。夫婦なら得に、「誰がどの子を扶養してる」なんてことはないだろうし、基本的には得になるように申告して問題になるようなことはないと思う。
だとすると、今回のような問題は、「知っている人だけがガツンと得をする話」であって、結構不公平だよなあと思う。扶養控除が可能な範囲って結構広くて、「6親等内の血族及び3親等内の姻族(生計を一つにする)」なわけだけど、またいとこから配偶者の甥姪まで含むってことなんだよね。現実にこの範囲まで含めて最適化してる人はいないだろうけど、所得のない親の扱いとかって、分かれるだろうなあ。
課税調査で、住民全員をチェックすることがあるけど、扶養に取ればいいのにって人がゴロゴロしてるままだから、ほんと不公平だな、と思う。