すてるならください

年末調整の季節です。会社から渡された紙は書きましたか?
さて、23年分の税金は去年と比べて大きな変化があります。子ども手当が導入された関係で、16歳未満の扶養控除が廃止されているのです。所得税も住民税も、今年はこの分の控除はありません。
ところで年末調整の提出用紙の一番下に、「住民税用に、16歳未満の子で扶養している子があれば記入してください」みたいな欄があるけど、これなあに?控除はされないんじゃないの?
実はこれ、住民税非課税の判定に使うためのものなのです。
所得税は単純に所得から控除を引いて、プラスならその部分に税率をかけて税金が計算されるだけですが、住民税の場合は、非課税の要件があります。例えば寡婦だったり未成年だったりってのは普通の人より非課税になる範囲が広い。他には、扶養している人数によっては、非課税になる範囲が変わるのです。で、年少の扶養者であっても、その非課税の判定には使われるってことです。
具体的なお話をしましょう。*1
住民税の均等割と呼ばれる部分(だいたい年4000円ぐらいの固定の額)の非課税要件は、所得が
28万円×(1+扶養人数)+16.8万円(誰も扶養していない場合は28万円)
以下であること、です。
住民税の所得割と呼ばれる部分(課税所得の10%)の非課税要件は、所得が
35万円×(1+扶養人数)+32万円(誰も扶養していない場合は35万円)
以下であること、です。


これ後者の所得割のほうが重要ですので、事例ごとに考えてみましょう。
・専業主婦(夫)、子ども2人、給与収入270万円の場合(または共働き、子ども3人、給与収入270万円の場合)
→給与収入が270万円の場合、給与所得は171万円になり、非課税要件が35万円×(1+扶養人数3)+32万円=172万円なので、住民税の均等割は非課税になります。もし子どもが扶養判定にカウントされなかった場合で考えると、専業主婦(夫)子ども2人のケースでは所得割が10万円(共働き子ども3人のケースでは12万円)近くかかっていただろうところ、それが非課税になるのです。大きいですね。


・専業主婦(夫)、子ども3人、給与収入320万円の場合(または共働き、子ども4人、給与収入320万円の場合)
→計算は省きますが、所得割非課税です。


・専業主婦(夫)、子ども1人、給与収入220万円の場合(または共働き、子ども2人、給与収入220万円の場合)
→計算は省きますが、所得割非課税です。


不要になってしまったかのように見える、年少者の扶養控除ですが、実はこのように生きています。扶養控除は所得の高い人につけるのが常識でしたが、上記のように相対的に所得の低い人が年少者の扶養控除をつけると非課税になるケースもあるということですね。育休を取った年なんかは、所得が下がってしまいますが、子どもを扶養していたりすると、住民税の均等割が非課税になって、税金が10万円近く安くなることもありそうです。

ちなみに僕のウチでは、同居の義父が孫2人を扶養しているならば、上記の例にあたりそうですが…課税側から見て何の疑いもないケースですが、ちょっとテクニックっぽくなるので多分やらない(家族内でデリケートな話になるので…)かなあ…。

所得の高い人につけても無駄になる年少者の扶養、「捨てるなら下さい」、って思っちゃいますね。孫沢山のおじいちゃんとか。

*1:お住まいの地区によって多少の違いはあります。