所得がない!

私たち税に関係する部署は、市民の所得の把握に努めています。それについては国の機関である税務署も同じなんだけど、税務署は納税が発生しない人には興味がないんですよね。確定申告の義務もないし、法的にも全く接点がない。ところが市役所ってのは違う。同じ所得を追ってはいるんだけど、税務署より申告義務の範囲が広い上(納税が発生しなくても、所得があれば申告が必要なの)、行政を行う人として、「所得がない」って情報も市役所としては必要としているわけなんだ。
例えば私たちってだいたい市長の名前で仕事を行うわけなんだけど(市役所から発送する書類は、だいたい市長名で発送しているよ)、市長って色んなお仕事をしているわけなんだよね。土木行政、福祉行政、国保、それら全部が市長の名前で行われているんだ。で、福祉行政とか国保とかで、「ある人に所得がない」って情報を必要とするのよねー。
ここで質問。市役所に所得の調査能力はあるのか?答え:ない。ないんですよ。市役所が所得を把握するのはクロヨン(給与所得者は9割、自営業は6割、農家は4割しか所得把握できないって俗に言われる)って言われるように、給与所得者しかわかんないの。給与所得者は給与支払報告書を勤め先が市役所に出してくれるからほとんど把握できるんだけど、それ以外はもう完全に報告待ち(これは税務署ルートからも報告があるけど)なのよね。
で、「所得がない!」方の所得ってどうやって把握するの?答え:把握できない。把握できないんすよ。「ある人に所得がないこと」を把握できる機関はこの世に存在しない。はっきり言えば、それはその人にしかわからないことなんです。
だから市役所はその人に所得がないことの申告を求めている。これは義務ではないんだけどね。そうすることによって、その人の所得を0と判断して、僕が担当している国保税なんかでは、軽減の該当にすることができる。そうじゃないとその人が所得隠ししてるのか、所得がないのかわからないわけだから。
で、このへんスルーして損している人が結構いるだろうなあ、と思っています。
あと、うちの市では24歳以下と60歳以上で、所得の申告がない人は、推計で0と判断しています。あと、扶養されている人も同様。