家族の範囲

南三陸町で最近1年間分の戸籍の異動が津波で消失しました。この復元は大変な作業となるでしょう。
ところで戸籍は家族関係を証明するものではありますが、あまり行政では家族関係の証明として戸籍を使用することはありません(生活保護なんかでは使うかな)。しかし、家族に近いような概念を利用することは数多くあります。その時に主に使用するものは住民票であり、家族の代わりに世帯という概念を利用します。
世帯とは、同居かつ同じ財布で生活している人の集団のこと。ただ、世帯の構成員には戸籍の示すような親族関係がある人だけがいるわけではありません。婚姻前のカップル、留学生・下宿生、等々。世帯というのもまた、行政で家族の代わりに利用するには不完全なものなのです。
さて、家族とは何なのでしょう?行政では家族の範囲をどこまでだと見ているのでしょう?
実は家族を表す尺度を、行政は持っていないんですよね。行政には家族の範囲がわからない。
戸籍は親族関係を示すだけのもので、いわゆる親等はわかりますが、家族の付き合いの濃さ(例えば同居云々)は全くわからない。反対に住民票では同居はわかるけど、同居していない親族が全くわからない。
一般に、家族というのは自明のような気がしているけれども、実際には非常に曖昧なものです。祖父母が家族なのかどうなのか、自分で考えてみても微妙なところがあります。そして税金の現場などでは、その判断を迫られたりもするわけですし、まあ実際家族と思ってるかどうかはともかく、本人が家族と言うなら家族にもなります。もっと言えば住民票でも確実な同居は判断できないので(住民票を置いたまま遠くの大学進学・または介護施設入居で非同居、反対に住民票は移していないけど家族の介護のために同居等)そこも自己申告になったり。それなら住民票とか戸籍とかの情報は何なんだろと思ったりもしますが、ある程度は目安をつけるためだけのものなのかな、と思ったり。
そんなに曖昧なものをよく相手にしてるぜ、と思ったりします。