市役所ハック

何の前置きもなく、市役所で税務課に異動したので確定申告の受付をしている、というようなことを書いていましたが、これは当たり前の前提ではないのです。正しくは、「うちの市役所では確定申告の受付をしている」ということで、市役所が絶対にやらなきゃいけないことではない。実際に確定申告の受付をどれぐらいやるかは各市町村で違う。
確定申告というのは全国一律に行われているもので、もちろん主催は市役所じゃない。税務署=国税庁がやっているものですね。平たく言えば、勝手にやらせときゃいい、んだけれども、市役所としては所得税の生き別れの双子みたいな住民税を担当しているので、確定申告が円滑に進んでもらう必要がある。確定申告で税務署に申告された個人の所得は、市役所にも報告が来て、その額に応じて住民税をかけることになるからだ。
もう一つは市民の目線から。基本的に確定申告が必要になる(=まあほとんどが還付の申告なんだけど)のは年金受給者=高齢者に多い。もしくは医療費控除などの単発もの。申告ってのは申し告げることであくまで主体は本人なんだけど、本人に任せたら、ハードルが高すぎる。誰かに助けて貰いたい、というときに市民の立場から市役所に役に立って貰おう、ということもある。
このように、一般的には市役所は、国や県と住民の間に立って、双方の利害を調整する場である。
確定申告を主催しているのは税務署であろうとも、基本的には市役所に相談の連絡は非常に多く集まる。
さて、そんな市役所はどんなところだろうか?
市役所に入ると一般的には総合案内のようなところがあって、道案内をしている。そして目的のところに行くのだが、基本的にはどこの部署もカウンターがあり、ほぼ全ての職員を見ることができる。あらゆる問い合わせは全て担当の職員の面前まで行って行うことができる。基本的に窓口というものはないのだが、全ての職員は問い合わせを受ければカウンター=窓口に立つことになる。というのが視覚的なイメージ。これは需要が多い住民票発行窓口と、需要が少ない総務部署でも変わらない。
市役所を活用しよう。と、言った時にまずは何をすればよいか?行政に関することのほぼ全ては、国がやることであろうと市役所は間に入っている。極論を言えば、入っていなくても、インターネットで調べたりして窓口を探してくれる。たらい回しは、その過程で生じることだとも言える。
まずは問い合わせをすることができる。行政に関することの、住民目線(無料ってところも含む)でのコンサルタントまたはコンシェルジュになりえるのは、今のところ市役所が一番だろう。それが大きな規模で行われているのが、今の確定申告の受付だと考えることもできる。私たちが作成する確定申告書には、税理士の名前の欄に、税務課長の名前が印刷されるのです。
戸籍に関してもそういう面があり、本来市職員は戸籍の仕事は国から委託を受けているだけであり、届自体も受理するかしないかを判断するだけなのだけれど、戸籍届の作成指導のようなことも普通に行なっている。その場では市職員が司法書士的な相談の一部分を受け持ったりするのだ(もちろん、この場合は司法書士のところに行ってください、と回答するのも一種のコンサルタント)。
住民参加とか村おこし、まちづくり、そういう大きな市役所活用法もあるのだけれど、まずは市役所という問い合わせ施設を活用する、というのが市役所ハックの第一歩かな、と。市役所は住民に色々なことを応(答)えたいのだけれど、応える方法をあまり知りません(広報ぐらい…広報も読んでみてくださいね)。聞かれたら応えるのは本来嬉しい?はずなので、どんどん活用してみましょう!