確定申告のススメ

さて、ここんとこ毎晩深夜まで残業、土曜日の今日も出勤したりしました。確定申告が近づいてきて、税金を担当する部署としては緊迫してきているところ。

確定申告の前に何をしているのかというと、給与支払報告書のチェックです。給料を支払った人は、払った相手の住んでいる市町村に対し給与の支配の報告をすることになっています。働いていると源泉徴収票って貰うと思いますが、それとほぼ同じものが各職場から市役所にも提出されるのです*1。市役所のかける住民税はこの給与支払報告書を情報源として決まっていくわけですねー。

その給与支払報告書を大量に見ているのですが、まず一般的な給与支払報告書は所得税源泉徴収されてから年末調整がされています。おっとわけわかんねーこと言ってんなコイツ。給料を支払う人は、所得税を予め予想して毎月の給料から税務署の代わりに徴収しておきます。それをお給料の源泉から徴収するので、源泉徴収と言います。
そうすると基本的には多く取りすぎることになります。年末に給料が決まると所得税も決まるので多く徴収した分を返します。これを年末に調整するので年末調整といいます。一つのところに通年で雇われている人で、他に所得がなければ所得税の計算はこれで終了。所得税を過不足なく収めているということになります。

しかし、それ以外にも給与支払報告書はたくさん出ています。2つ以上のところから給与が支払われたり、職場が年末調整をしないところなどは、所得税は引かれていても、会社は正確な所得税の計算はしないので基本的には取られすぎていることになります。

このままでは税金がたくさん税務署に取られてしまう!さあ、どうする!?

そういう方は、確定申告の出番です。ご自身で所得税を正確に計算することによって、「おい、取り過ぎじゃねーか!」と怒って(怒らなくてもいいですが)還付を要求するのが確定申告(還付申告)なわけです。まあ取られる税金が少なすぎた場合は泣く泣くこれも確定申告して納税が必要になりますが。

「俺にはカンケーねーや」ですって?確かにそうです。しかし、アルバイトであっても所得税は取られていたりするわけです。103万円の壁といいますが、103万円までしか働かなければ税金が取られないわけではありません。年末調整されないと、給料から天引きされてしまった税金は完全な収め損です。自分で確定申告して取り返さなければなりません。メインの給料の他に何かのお手伝いなどをして源泉徴収票を貰ったことはありますか?もしそこに源泉徴収された税金が書かれていれば、取られすぎている可能性があります。そのような給与支払報告書が市役所に山のように提出されています。

さらに給与支払報告書を見ていると、過大に控除(経費)をつけすぎている方や、反対につけれる控除をつけていない方が多数いらっしゃいます。

所得から各種控除を引いたものに税率をかけて税金を計算しますが、所得は0以下にはなりません。所得以上に控除額があっても所得は0より低くはなりません。それならば他に所得がある人に控除をつけるほうがお得な場合もあります*2。例えば共働きで片方が控除を付けすぎて所得額を控除額が上回っているようなら、もう片方に何かの控除を回した方が、夫婦総合した税額が下がることがあるということです。

今度はつけられる控除をつけていないパターン。生計を一にしている所得が38万円以下の人を扶養していたら、扶養控除として38万円分所得を低いものとして計算することができるんですが、これは別居でも可能なのですよね。田舎の両親に仕送りをしているとしましょう。その人の所得が38万円以下であれば(年金の控除が70万円とか120万円とかあるので実際結構該当する)、扶養控除をつけられたりするんです。うちは祖母が遺族厚生年金をたくさんもらっていたのですが、それが所得として計算されない(非課税の所得になる)ことを知らなくて、祖母を扶養控除につけていませんでした。同居老親等の控除は58万円、ついでに障害者でもあったのでさらに27万円の控除を誰もつけていなかったという、税金的には大損状態でした。

そんなわけで、確定申告、やってみるといいことがあることもあります。副次効果として、高い納税者意識が得られることもあるかも知れません。うちの市の場合は申告相談と言って、会場を準備して申告のアドバイス?をしていたりします。各自治体によって違うとは思いますが、勉強になることもあると思うので、機会があれば是非。電子申告という方法もあります。

*1:手書きの場合は源泉徴収票は給与支払報告書と複写になっています

*2:本来は実情を申告するものだから、虚偽の申告をしなさい、と促すわけではないですが