リバタリアン宣言 (朝日新書)

リバタリアン宣言 (朝日新書)

新聞か雑誌の書評で見かけて気になったので読んでみた。
僕はこの「リバタリアン」という用語を知らなかったのだけれど、読んでいるうちにすごく引き込まれ、共感した。日々公務員として暮らす中で、どうしても浮かんでくる疑問点に一つの思考のヒントを与えてくれるような気がしたからだ。リバタリアニズムとは、他者の権利を侵害しない限り、各個人の自由を最大限尊重すべきだとする政治思想である(ウィキペディアより)。端的に言えば夜警国家の延長であり、乱暴に言えば夜警すら民営化しようぜ、ってのがリバタリアニズムだと思った。
大雑把な計算として、公務員がサービスを行うことは、民間が行うことにくらべて2倍のコストがかかる*1。実感としてもその通りで、遵守するべきルールや前例、序列が多すぎて当事者の努力でいかんともしがたいのだ。
まさに今話題の年金制度こそ民営化すべきである。この本の中でも果たしてこれは官がやるべきものか、と触れている。例え低所得であっても、年金の原資を年率6%で運営するだけでかなりの額になる。これを官が運営するだけで、利回りは激減しよう。社会保障が必要ならば、税でやればいいのだ。
また、常々から農業に対する保護ぶりは理解に苦しむようになってきていて、個人的には農業に対する規制や保護を減らす方向に進むべきだと思っている。
あと考えるべきはやっぱり市場の失敗ですよね。無政府でそれが解決できるのかどうか。
それにしたって世界はどんどん無政府な方向に進んできている気もする。現実問題今日本が戦争起こそうとしたって相手は北朝鮮だけじゃん。サムソンがいて日本の生産する部品をどんどん買ってくれる国や、その部品を生産してくれる世界の工場とかと戦争できるわけがない。中国を攻撃するなら、一体その工場はどこの国の工場なんだ、と。

*1:自分でも自分の思想の変遷がわけわかんなくなるときがある。これはまたそのうち考えたい。