氏を変えるのはすごく難しいようだ。今日氏を変えたいというお客さんが来て、こっちの回答として「裁判所に行く必要がある」、ってことだったんで自分でもちょっと調べてみた。余談だけど、ネット超便利ーよな。今さら。何でも書いてあるんだから役所に行って押し問答する必要がなくなるぜ。
さて、難しいんだって。家制度の名残でもある戸籍制度が、氏の名前を主キー*1にしているので「やむを得ない事由」がないと変えられないんだって。
男女差別と戸籍っていうトピック、というか確かに戸籍の法律の中には男女差別はないんだろうけど、そもそも戸籍って現状をガチッと止めて捉えよう、ってことだからね。その固定、ってことがつまりは男女差別の固定になろう。
はたまたもう一つのトピック。ある時「婿に入る」というお客さんが来ていたけれども、戸籍の中に「婿に入る」、なんて言葉はない。結婚は戸籍の創設だからして、入る戸籍などないのですよ。事実としてあることは、結婚時に妻の姓を選ぶことだけ。戸籍の中ではそれだけの事実なのですよ。もちろん嫁を取るとか嫁ぐなんてこともない。
でも、誰もそういうことを知らない。知らないってことはそれが事実だってことだ。未だに世の中には婿入りとか嫁入りとかそういう事実があるわけで、じゃあ誰が犯人かって言えば消極的に戸籍だってこともあると思うんですよ。
硬直的ってことだけで。それらの「家」という概念を繋ぎとめているのが戸籍だということもあるのだろう。
何よりかによりめんどくさいの。イエモンも言ってましたよ。「男らしいとか女らしいとかそんなことどうでもいい人間らしい君と」と。アイデンティティとは性別や、ましてや家とは別のところにあるってことは、自分(もしくは「君」)ではわかるんだろうけどね。
さて、「国が」という部分ですが、戸籍という方法で国民を捉えたがっているみたいです。国民把握の方法です。号令一下ってわけでもないんでしょうが、戸籍の樹形図の下に国民を入れる、って結局何のために?
で、なんでこんな拘るかっていうと、諸外国にはこの戸籍制度がないみたいなんですよねー。それを聞いて思うのは「楽ー!」ってことです。戸籍の内容を必要とする側からはどうかわかりませんが、戸籍を運用する側から言えばめんどくさいだけです。
あ、もう一つトピック。結婚しようとする人が、親と同じ本籍を選ぼうとしたら、市から「そんな住所ありません」と言われました。えー。土地というのは分割されることがあります。111という土地が分割されると111-1と111-2に分かれます。例えば市が道路を拡幅して土地を買い上げる場合に土地を分割しますね。本籍というのは住所さえあれば選択できます*2。「-1と-2がありますがどちらにしますか?」見事、彼らは道路を選ばれました。この先自分の本籍絶対間違うぞ。さて、一体本籍とは何ぞや?
何故この本籍のどうでもよさを誰も問題にしていないのでしょうか。
情報として意味がないので市名までにしときゃいいのに。だいたい本籍があるところの市がその戸籍の管理をするって意味がわからない。法務局あたりが全て受け持ったりすればいいのにな。あ、でも肝心の法務局が管轄丸出しだからなぁ。
もしかして単に僕のとこの仕事の種類が多いことに腹を立ててるだけかもしんない。でもさー、土地と建物は法務局で住民票と戸籍は市役所って別に意味がないよー。外国人登録も市役所でする必要あるのかよー、って、あ、これも法務局の管轄。法廷受託義務。出生届とか婚姻届受け取る時顔が強ばっちゃう*3。ああーそれって違うよー。

*1:とはちょっと違うけどね

*2:こないだ書いたけど北方領土でも皇居でも

*3:どういう事務処理をしていいかわからないから