どうやら僕の仕事は戸籍事務のようだ。今さらわかった。
戸籍のことを考えていくと、夫婦別姓に思い至る。戸籍の始まりのほとんどを占める婚姻時に、夫婦はかならず夫か妻のどちらかの一方の姓を選択する必要があるからだ。その理由は民法からであり、それを下敷きにして戸籍法でその登録を規定している感じ。
つまり、戸籍の基本は夫婦同姓にあるわけ。夫婦同姓、さらに「氏を同じくする子」までが同一の戸籍に入る。一つの戸籍は、みんな同じ姓ってわけ。
例えば夫婦別姓ができるようになった場合、戸籍ってのは根底からひっくり返る。戸籍には「筆頭者」という夫婦のうち旧来の姓を選んだほうの人が先頭に記載される。で、その筆頭者の姓が戸籍全員分の姓を表すことになってるの。(だいたいさー、筆頭者なんて有名無実な呼称は余分なのよ。)だから夫婦とその子供の氏が違うってことは、戸籍法では全く考えていないわけ。氏は1個書いときゃいいだろってんだから。
同一戸籍としての一体感?は氏が一緒だからこそあった。データベースで言うなら氏(というか筆頭者名)が個別の戸籍の主キーとして存在した。ところが夫婦が別姓になれば、氏や筆頭者はわかんなくなっちゃうよね。父母の姓が山田と鈴木だとして、お子さんのあなたにそのどちらが筆頭者か、なんてわかんなくなりますよ。
で、こないだから戸籍の「本籍」ってのは全く意味がなくなっている、って書いてますけれども、実際は氏だって意味がないと思うんですよ。氏はほとんど変えることができない、なぜなら主キーだから、って前の日記で書きましたが、本籍が存在することと同じで、データベースの要件だから変えられないだけなんです。ほんとは氏なんてどうでもいいんですよ。
現行の戸籍ってのは旧来の家制度の戸籍とは全く異なっている。これ自体はいいことなんでしょう。だから家を連想する巷間の話は間違い。嫁ぐ。入籍。婿。こんな言葉は現在の戸籍にはありません。ありませんがあるんです。けどまあ、いいでしょう。
どうせないんだからもう切っちまえよって話。過去と繋がっているから話がわけわかんないだけで。夫婦同姓の国も多いですし、夫側に合わせる国も多いんですが、男女差別の意識が高いとか低いとか置いといて日本は現在の戸籍をやめえちまえばいいと思う。
あ、話が飛んだ。とにかく夫婦別姓になることは、戸籍制度の破壊です。旧来の家制度は破壊されていましたが、似たような形を残すことが可能だったのです。それが現行戸籍、という*1。戸籍があるからそれを壊すためにも夫婦別姓をすべきだ、と僕は思ってしまう。
グローバル化、ということでいうなら、外国にない制度は日本にもなくていい。実際に外国人が日本に来るにあたり、ダブルスタンダードが浮き彫りになる。外国人は日本人と結婚しても戸籍には入れない。透明人間のように。だから日本人夫と外国人妻が結婚して子供を設けた場合、その戸籍は日本人夫、日本人子供となる。子の母は誰だ。まあ母の欄*2に名前は書いてあったと思ったけど。
住民票は1人1枚が基本で、例え世帯全員分を出したとしてもそれは個・個・個・・・というのが集まっただけのこと。そこにも外国人は含まれないけれども、外国人が日本で外国人登録していることの証明は出せる。
極端に言えばこれも全部一緒でいいだろっていう。住民票ってのは住民としての登録ってだけなのだろうし。って考えてみれば日本国籍保持者って何で判断したらいいんだろう。アメリカで生まれた人はアメリカ国籍を取得できるけど、日本で生まれても親のどちらかが日本人じゃないと日本国籍は取得できない。
戸籍には日本国籍者を管理するって意味もあるんだけど、なんでそういう事務が法律で市町村に受託されてるのかな。
あ、ところで今自分の戸籍のわかっていない具合って酷いです。職場でつらい立場です。

*1:例えるなら合成繊維みたいなもんでしょうか。実質は全く違っても、同じような服を作れる。

*2:同じく夫の妻の欄にも