「男が主夫なんてやるから」

昨日は僕ら夫婦と娘、義父母とで夕食後にテレビを見ていた。その中で、奥さんが漫画家、旦那さんがアシスタント的な夫婦で、奥さんからのストレス(更年期障害から来たもの)によって旦那さんがある病を発病した、というのをやっていた。
それを見ていた義父が「男が主夫なんてやるから」といったので「えっ!」と。テレビの編集も、別にそういう風にはなっていなかったし、主夫(かどうかわかんないんだけど)だったことと病気の因果関係は全くなかった。
いやいや、私主夫ではないですけども、育児休業中でして、世間ではそれを主夫って言ったりする人もいるぐらい地続きなんすけど。それに高額所得者である女性が結婚後に家庭を成り立たせるため男性が主夫になるって合理的な選択肢だと思うんですけど。百歩譲って昭和の価値観が「男は仕事、女は家庭」にしても、それは男が稼げたからでしょう、と。
「いや、この場合、主夫だったことと病気は関係ないですけどね」と僕が言い、妻が何かしらフォローをしてくれたと思ったが、それに対して「何言ってんだ」と義父。
同居させてもらっといてなんだってことになるかもしれんが…
昭和ってどういう価値観なんでしょうね。何をもって合理的判断を歪ませることができたのか。山崎宇宙飛行士も、その夫も、一生懸命選択したことによって女性宇宙飛行士と主夫になっているわけでしょう。そういう選択自体を否定して、それぞれの人間が、それぞれの事情の中で生きることができるのか。
一緒に生活してみてわかったんですが、これで何となく妻の思想もわかってきました。妻は積極的に専業主婦になりたいのに、消極的に(辞めれないから)働いている、と言っています。父が強烈に「男は仕事、女は家庭」であるなら、それが染み付いているというのはわかる。
うちの両親は共働きで、長きに渡って母のほうが給料が高かったんだけど、結果ある意味お金に苦労したことはない。それに対して、義家のほうは義母が結婚後ずっと働いていない(やりくりをしていた)ので、かなりカツカツだったこともある、と。
昭和の当時から「男は仕事、女は家庭」は破綻ですよ。家庭内での相対を言っているだけで、男も女も仕事をしていたら、金銭的には楽だ。それもうちは一部上場企業と教師だからどっちか片方でも余裕で食えた。
家庭内だけで序列が収まるなら、「男は仕事、女は家庭」でもいい。でも、絶対的な尺度で見たら、他の考えだってあってもいいじゃん。アリの一穴(主夫を認めるとか)で潰れるような価値観なら、どうしてそんなものに凝り固まるの?
家庭内で唯一自分がお金を稼いでくるという特権的な立場。確かにそれがあれば、自分は尊重してもらえる。でも、それより家族全体で、より多くのものを得、より多くの幸せを得られればいいと思うのに。
そういう家庭内での何かを保守することによって、妻と僕の間にあるものとかが難しくなったらどうするっていうんだ。妻は義父母を尊重するために、僕が表面上そういう価値観に合わせるんだけど、それがいいものかね。
軽い気持ちからの同居だったんだけど、出にくくなった(妻が義父母を心配するから)現在、どうしていいもんかと考える。
娘には僕を尊重して欲しくないんだが。