目には入れど

昨日は夜間の延長窓口だった。うちの市ではパスポートの申請を夜間窓口でも行っているので、仕事で平日の昼間に来るのが難しい方などがみえることがあります。他でも書きましたが、パスポートの申請は1日1回やそこらの事務。さらには5人でその仕事を割りますし、主担当的な人もいるので最終的な確認をお願いしたり、ある部分を分散して受けたりもして、個人的には月に5件受けるかどうか、みたいなところ。
夜間窓口の人員は2人。私が1人パスポートを受けているともう1人は別の事務を受け、さらに3人の家族がパスポートの申請にみえたのでたまらんことになりました。結局2人がお互い別の事務を受け続けた(来客が多かった)ので最終的に僕が5人のパスポート申請を一気に受けることになりました。
パスポートが市に仕事として下りてくる前に、県の事務所で軽い実習をしたこともあるんですが、市と県では仕事のやりかたが違うような気がするんですよね。県はパスポートの門番という部分でも仕事を受けているのでチェックが厳しく、来客に関しても門番的な部分で接することもできると思うんですが、僕のイメージでは門番的な部分はまだ県に残っていて、仕事的な請負*1だけを市役所がしているような感じなので、市役所としては立場が来客寄りなんですよね。そういうのを言い訳にして、チェックが甘いというかスピーディなところもあるんですが、いやー怖かった。一気に5件も受けたら絶対ミスがあるわーとか思って。市役所には来客を捌くだけの時があるようなイメージです。
そん時にも思ったし、別の時にも思っているんですが、目に入っても見えているものは本当に少ない。本人確認で免許証なんかを見せてもらうときも、確認すべきところを完璧に確認しているとは言い難い。ましてや普段見慣れないパスポートで本人確認させてもらうときは、名前はローマ字だし生年月日は西暦だしで目くらましにあったように何にも覚えてない。写真と本人の同一性さえわからない。いや、こんだけ見てんじゃんと思うんだけど、脳が止まってると頭に何も入ってこないのね。
仕事をしていても例えば目の前の仕事だけに集中し、慣れた仕事ならある程度の確認とともにこなせよう。ところが視界に入っている、耳に聞こえている他の情報の一体どれだけを把握できるだろう。ある実験で、バスケットボールのゲームのビデオを見せて、パスが何回行われたかを被験者に数えてもらったところ、画面を横切るゴリラ(気ぐるみを着た人間)に誰も気づかない、というものがあった。我々も仕事中の視界の先に宇宙人がいても気づかないかもしれない。昨日のパスポートの申請の後ろでは、暇を持て余した神々が、申請書の記載台にマ○コマークを落書きしてあった。

*1:まさか偽装!?