改正国籍法

「偽装認知」容疑、中国人3人逮捕 日本人の子と届出
少し前に国籍法改正のニュースがありました。以前は出生前に認知するか、認知と父母の婚姻の両方をすることが子の国籍取得の要件だったが、「婚姻の有無で国籍が取得できないのは違憲」という判決が出て、父母の婚姻を国籍取得の要件としない法律がこの1月に施行されました。ついては偽装が心配なので罰則規定を設けた、というところまでが国籍法改正の主旨です。
このニュースは「偽装認知」ということでついに来たか!と思ったんですが、実はこれ国籍法改正前の出来事なんですよね。出生前に認知、いわゆる胎児認知をしてあったので本来中国人である容疑者の子は、日本人として出生し、戸籍も作られた、というわけです。かわいそうなことに、1月から国籍法には罰則規定が設けられたので、御用となったわけです。
そんな簡単に虚偽申請ができるのか、と言えば、できるのです。以前から。もともと市役所は実質的な審査はしないしする権限も能力もないので、欺こうとすれば簡単にそれが可能です。認知は創設的な届出、つまりは新しく身分関係を作る届出ですが、市役所としては全ての情報が正しく書かれていれば、それを受け付けないわけにはいきません。極端に言えば、例え文字に中華な雰囲気を感じても、それが形式的に適正であれば拒むことはできません。
もし届出が虚偽であった場合は、取り消しうるのであり*1、その届出には罰則が課されます。
まとめます。認知は届出が正確に書かれていれば虚偽でもできます。ただし虚偽の届出は取り消せる*2し、罰則の対象です。
さて、国籍取得ですが、これは窓口が法務局です。この事件の当時はともかく、今の法務局はピリピリしてるので国籍取得に対してとても敏感です。こちらは本当に日本国籍が取得できるかについて実質的な審査をするはずです。ただ、DNA鑑定まではしないということだったかな。まあそれはともかく、最近問題になっていたのはここの実質的な審査についてでした。
というわけで冒頭の記事ですが、改正国籍法からは利益を得ていないのに、罰則が設けられたという不利益だけを被ったわけで、タイミングが悪かったね、というお話。

*1:取り消しか無効かちょっと調べるのめんどくさい

*2:無効だったかなあ