現在うちの近くで経営体育成基盤整備事業という事業が行われようとしている。水田の用水をパイプラインにして水を確保しようというものだ。ここにうちの所有している田んぼも含まれている。
この事業の補助率がまたすごい。国が50%県が20%市が12%、そして受益者(地主と耕作者)が残りの8%(4%づつ)、ということで住民としては8%の負担で事業が進められるということになる。この負担金が約1000㎡あたり約6万円になる。うちが持っている土地が2000㎡だから、地主分の負担が6万円ということになろう。賃料は年4万円ぐらいかな。で、1000㎡あたりの収益がどれぐらいかネットで検索しても情報が乏しくて、5万円ぐらいだろうということにしておく。なので、2000㎡で10万円。耕作者は6万円の利益、と。
で、2000㎡で事業費が行政と受益者合わせて140万円ほどかかるわけだけど、これを30年ほどで回収するとしたら年に4万円の収益アップが必要なわけです。40%の増益が必要です。これが多いのか少ないのか。で、まあ40%も増益するとしたら普通もっと補助率が低いだろうから、2000㎡で12万円の受益者負担分で計算すると、30年で年4千円の収益アップでいいのかな。4%の増益。そうするとそれを地主と耕作者で分け合って年2000円収益が増えればこの計画に賛同してよい、ということになる。でも、30年はけっこう長い。
あと実際の不利益としては農地なんて売れないやん。で、荒らすわけにもいかんし、宅地にもできない。パイプラインなんかができちゃえばさらにその傾向は強まる。地主としては追い込まれるだけなんだけど、どうも自由意志で賛成反対を言うことはできないらしい。圧力というか賛成をして欲しいというのが市や県の担当者や地元から言われるらしい。
とにかく92%が他人の財布から、なんて事業があっていいものか。年4万円収益上げなきゃいかんのか4千円でいいのか。そもそも耕作者がすでに高齢化してほとんどが70代以上で、後継者もいないのに30年後まで償還を考えてもいいのか。納税者の観点からはこんなものに税金を投入してもよいとは到底思われない。でも、地元の意向は違うんだろうね。
ところでこういうことについてネットで調べようにもほとんど情報がない。今回のうちの事業にしたって総工費が10億とかかかると思うのに(税金だって10億近く注ぎ込まれるって話だよ)、インターネットに欠片も情報が出てこない。世の中にはこんなものがゴロゴロしてんのかと思うと薄ら寒くなります。僕個人は工場とかショッピングセンターに来て欲しかった。あと、こんな農地誰か買ってくれよ、と思う。意思決定に参画させられるのが負担だ(今は親父がやってるけど)。