僕の地元の市で、ブラジルの方が土地を買って家を建てようとしたら、周辺の自治会が反対して阻止したという悲しい事件があった。

日系ブラジル人3世の工員の男性(30)が、静岡県○○市内に新居用の土地を買おうとしたところ、地域住民がブラジル人の転入阻止を決めたため、静岡地方法務局○○支局が阻止行為を「人権侵犯」にあたるとして、住民らにやめるよう「説示」していたことがわかった。男性は「ブラジル人というだけで、マイホームの夢もかなわないのか」と肩を落とした。

僕は職場でほとんど毎日ブラジルの方と会っている。自分の担当以外の仕事では辛いことも多いが、ブラジルの方と会うことが一つの慰めみたいにもなっている。僕はポルトガル語が話せないし、ブラジルの方も日本語が片言だったりするから特に笑顔が一つの言葉みたいになっていて、お互いに笑顔を交わすのが習慣のようになっている。そんなわけで僕はブラジルの方が来ると少し嬉しい(もちろん他の国の方でも同じだけれど)。
日本語が喋れないから通訳の方と一緒に来る方であっても、用件が終わって帰るときには必ず笑顔で「アリガトウ」とか言ってくれる。外国人登録というのはどんな方でも全員するものだから、市役所に来る人がたまたまいい人だというわけではなくて、ほとんどの方がいい人ということになる。基本的にブラジルの方はほとんどが気のいい人達だし、中には日本語がペラペラで漢字も書ける方もいる。日系2世ぐらいの方なのかなあ。両親が日本人とかで、日本語喋って漢字書いて、それで何で日本人と違う扱いなんだろう。
日本は在日韓国人を外国人として扱っているので、彼らは韓国に帰ると韓国人だ。日系ブラジル人は向こうで生まれてブラジル国籍を得たために日本に帰っても日本人にはならない。
ペルーのフジモリ大統領は、実は二重国籍だった。今の日本の法律では二重国籍はありえない。なんなんだろうね。僕の好きな人達が偏見の目で見られるのは悲しいよ。僕は在日韓国人も在日日系ブラジル人もどちらも日本人だと思っている。
ところでこの話のもう一つのオチは外国人を一番人権侵害しているのが法務局の親玉の法務省だということです。


追記:実はこの親しみは自分の立場にあるのではないかとふと思った。日本では日本語しか喋れない官憲である僕ら市役所の権力がブラジル人に対して強く、日本語の不自由なブラジルの方は自然と穏やかになるのかもしれない。窓口で高圧的になることができる日本人は、やはり日本語が使えるからだろう。そして住民の権力は、明らかに市職員よりも強い。この権力差が、僕にブラジルの人を好ましく思わせるのだとしたら、僕の権力を忌避する気持ちもその程度のもんだ。それは少し悲しい。