今の仕事になるまではわからなかったことだけれども、本籍について全く誤解していた。というわけで戸籍についてのことです。
戸籍とは家族単位で身分関係*1を明確にするための書類です。つまり、一冊の本があるとしましょう。そこにはある人とある人が結婚して子供が生まれて、その子供が結婚するまでのストーリーが書かれている*2、というものです。ここでは便宜上この本を戸籍と呼ぶことにしましょう。
例えば僕からおじいちゃんを辿るためには、今現在僕が入っている戸籍(両親の結婚から僕の出生までが記載された本)だけでは足りません。両親が結婚によって新しいストーリーを作っているからです。おじいちゃんが存命であるとするならば*3おじいちゃんの結婚から始まるストーリーの本を見る必要があります。その本の最後に僕の父が結婚によって新しい戸籍を作ったことが書かれており、繋がっていく、という感じでしょうか。
戸籍には筆頭者というものがいます。筆頭者、つまり、インデックス。データベースでいう主キーですな。結婚時には夫婦別姓は認められていませんので、どちらかの姓にする必要があります。その時に選ばれた姓の持ち主が戸籍の先頭に記載され、筆頭者になる。ただそれだけのことなのです。主キーは何でもいい。
さて、こうなるとだいたい見えてきました。戸籍とは本です。本を探すためのインデックスは背表紙です。本の題名だと考えていいでしょう。次に何が必要でしょうか。そうです、本棚です。
というわけで本棚こそが本籍だった、のです。本籍とは戸籍をどこにしまっておくかを示すだけのものだったのです。
本籍は住所があるところなら日本のどこにでも設定できます。今住んでいるところでも、未だ誰も住んだことがないところでもいいのです。北方領土でも皇居でも。ただ単にどこの自治体がその本を管理するかってだけの違いだけなのです。
本籍ってそれだけの意味だったの?僕なんかは何代に渡って同じ本籍なんですけれども、それって結局うちの先祖(そんなに遡んないけどさ)が毎回新しく自分の住んでいるところを設定していたに過ぎないのです。何かを引き継いでいるわけではなくて。
例えば結婚時に今住んでるアパートなんかを本籍にしちゃう人もいるわけなんですが、それってちょっと寂しいよね。引っ越したら忘れちゃう!まあ記念でもあるわけですけれども。それなら思い出の場所を本籍にするのは全然あるわけです。というかむしろそうしたほうがいいぐらい?
さて、本籍というのは住民票にも記載することができます。住民票というのは紙っぴらで1人に1枚、住所、氏名、生年月日、性別等々の現在ステータスが登録されているものです。その中に本籍もあるわけです。住民票に記載できるぐらいだからものすごく大事な情報なのかと思ったら、ただ単に本棚の位置を示しているだけだったなんて!例えば戸籍ってのは本籍地のある市町村役場でしか取れませんが、住民票を見て戸籍のある役場を調べることができるってだけのことだったのね。
そう考えると言葉が仰々しいのか、制度が不要なのか、みたいな気分になりますね。とにかく今はこれが仕事なんで覚えることを優先しますけれども。

*1:というか家族関係というか

*2:一般的に戸籍は結婚によって作られ、その子供は結婚によって新しい戸籍を作るので今までの戸籍から抜ける

*3:実際は亡くなっているので死んでいる戸籍を調べる必要が出てきます