「無駄な道路工事」ってイディオムのようになっている。例えば、「年度末の」というのが枕になって。以前の僕もそのような感覚を持ったと思うが、道路管理者になってその時の感覚を忘れてしまった。何とか思い出したいとは思っているのだけれど。特に、何の工事だったかを。
今では道路工事をやっているのを見ると、「ああ、水道だな」「下水だな」とわかるので、あんまり悪く言う気が起きない。例えば道路管理者である僕達に対して、水道、下水の担当課から市長名で申請が来るのです。「道路工事していいか?」って。まあ滅多なことでノーとは言わないですが、例えばこれを全てノーにしてしまえば道路工事なんてなくなってしまいます。
要は無駄かどうかってことで。僕は工事をやっている地区の住民が、水道や下水よなくなれよかし!とは言えません。井戸でええやないか、合併浄化槽でええやないか、という考えもありますが、それは色々事情があるでしょう。最近では老朽水道管の入れ替えが多く行われていると思います。石綿管、いわゆるアスベストを使った水道管なんかが去年はたくさん入れ替えられましたが、そういう工事までなくせとは言えないよね。
今日も下水の工事を見かけました。下水も一大事業なのです。例えば僕が勤めていた町ではおととしに下水処理場が完成し、稼働を始め、年々下水が入るところが増えています。全部一遍にやれっつってもちょっと難しいですし、確かに年度末に工事が重なる*1ことはあるかもしれませんが、結局毎年あることなのです。
あと、予算使い切るためってのは僕の立場から考えてちょっと意味がわかりません。そういうことがどういう公共団体でありえるか予想もつかない。道路工事ってのは単年でやるものではなく、地元の要望を受けて調査し、事業化し、予算化し、測量をかけ、設計をし、その段階で工事数量がわかるので積算をし、工事費がでます。さらに地元に説明会をし、納得が得られれば土地の買収に入ります。工事は本当に最後で、その時には予算はほぼ確定しています。余った予算を使って工事をするって考え方の意味がよくわかりません。
ところで共同溝って誰が作るんだろう。僕は見たことない。
追記:ついでに言えば、行政には「繰越」って制度があって、事業を翌年まで持ち越せます。「予算消化が間に合わない!(工事が遅れた!)」ってなれば年度を跨ぐことは十分可能です。その場合、道路工事は年度始めに行われるはずです。

*1:単年度予算で考えると、入札して契約して、って工事はどうしても一番最後ですから