「ニート」って言うな! (光文社新書)

「ニート」って言うな! (光文社新書)

バックボーンの違う3者が反ニートで繋がって3様に書いたのがこの本。
ニートというのはNEETつまりはNot in Employment, Education or Trainingの和訳のはずなんですが、いつの間にか「ニート」がローカライズされた形で一人歩きして、まるでパラサイトシングル→社会的ひきこもり→ニートと青少年に対するネガティブイメージ流行りワードの後釜みたいでこれいかに、と。
個人的に思うのは、「Not」で特定されるべき対象が、ある特定のイメージでくくられるのはおかしいかなあ。この言葉が登場した初期は、不景気だっつっても失業率が安定していていいじゃない、だけどそういう統計に出てこない「Not」な人がいるぜ!ってのが目からウロコでこのNEETって言葉が面目躍如だったと思った。が、いつの間にかフリーターもニートもごちゃ混ぜになっていた。まあ自分も適当に使ってたしね
まあそういう便利なとこがあったとしてもすでに利害等で元に戻れない言葉になってしまった「ニート」に対してはやっぱり批判していかないと、っていう。
この中で内藤さんの書いた「教育は暴力だ」「他人が何やってるかわからない不透明な社会(自由な社会)が理想」っていうような記述にガツンと来ましたね。この辺は個人的なことなんですが、田舎の長男をやっていくという恐怖から逃げ出すことに理論的後ろ盾を与えてくれそうな感じだったから。祭や消防団などの地元のコミュニティーへの参加を強要されることなど、そしてそれを逃げることに対する年長者からの非難の視線等、それに反論する理論的拠り所が欲しかったのです。
さて、反ニートのその先には社会の構造に対する反対が続きます。例えばそれは経済学で言うならマクロ政策の失敗とかですか。何というか今から一気に景気が回復して、人手不足になったらニートが減った、とかになったら笑うよね。誰に教育が必要だったんだ、って。