今回の浅田農産の事件がなぜ起こったか、ということについて、そもそもの最初から自殺する覚悟があったとしたら?という仮説を考えることもできるかもしれない。
鳥インフルエンザは天災、とは言っても叩かれても埃が出ない聖人なんて滅多にいないわけで、鳥インフルエンザの発生によって、杜撰な経営、不衛生、その他モロモロが露呈されないとは限らない。
しかも風評被害は絶対にある。「加熱したから大丈夫」であろう卵が出荷されたからと過敏に反応する人々が、近々1年程度、そこの農園から鶏を買うだろうか?
さらには巨大な農園である。一旦不慮の出来事が起こり、資金や経営が回らなくなった時、巨大な経営規模が仇となるに違いない。借金も膨大になろうし、鶏の処理だって膨大になろう。
そこで隠蔽工作までの飛躍として、自らの自殺の決意を一つの選択肢にしてしまう、ということがあるかもしれない。どうせ市に鳥インフルエンザを申告しても経営が立ち行かなくなるのだったら、ダメでもともと、このまま隠してしまえばいいじゃないか。
不可抗力ってわけじゃないけど、こういう状況になったらそっちの道選んじゃう人が出る可能性もあったんだろうな、と。別に擁護する気もないけど、そこにもう一つ道があったら――もっともどんな道があるのかはわからないけど――こんな結果を招かずに済んだのかもしれないと思った。