家族を容れるハコ 家族を超えるハコ

家族を容れるハコ 家族を超えるハコ

家族を容れるハコ 家族を超えるハコ

最近ずっと家(建物)について考えていて、家の作り方の本は多いけど、そこに住む家族のことというか、住み方というか、ちょっと表現が難しいけど、家に住みたいという人間のことを書いている本が少ないなあと感じていた。そんなことをツイッターで呟いたら、この本を紹介して頂きました。結論をいうと、これがまさにそういう本。
「家族を容れるハコ」というのがまさにパッケージとしての家。理想の家というのが建築の面からだけ語られていて、そこに住む家族がどんどん変わって実態がなくなっているのに、パッケージだけはマイナーチェンジがあるだけで半世紀もコンセプト変わっていなかった。核家族の役割分業モデル・愛情で結ばれた家族の空間として。
そして「家族を超えるハコ」。家族というのがそのように溶解し、多様になっていくなかで、現状の家は役割を果たせない。家は家族を超えるべきなのだ。家族に対して、子育てと介護という、従来の家族では考えられていなかった負担が表出してきた。それを家族内だけで完結することはもはや不可能だ。家は家族を超える機能を持つべきなのだ、と。
それが家が外に開かれるということ。現在でも家の中の行き止まりに見える個室は、実は電話やインターネットで外部に開いている。育児や介護に対応する家は、外部から他者が侵入することを想定している必要がある。根底からパッケージングをし直す必要があるのだ。
本の構成としては対談集。主に著者で社会学者の上野千鶴子と、上記に問題意識を持つ数少ない建築家の山本理顕との。
上野千鶴子さんって食わず嫌いなところもあったけど、読んでみたら面白かった。僕は意外にフェミニストだったのだなあ。
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