対称性の破れ

「パスポートの発行」は個人にとっては単にパスポートの発行というだけのことだが、事務としてはパスポートを発行するにあたってのセキュリティの管理が一番重要になる。つまり、申請者にパスポートを発行していいか悪いかの管理。それはもちろん住基カードにしても電子証明書にしても印鑑証明書にしてもそうなんだけど、話が市だけで済むものはどうしてもセキュリティの管理が鈍くなる。
パスポートはお得なんだろう。偽造やなりすましに狙われるようだ。話がこんがらがってくるが、パスポートのなりすましによる取得で使われるのは、市役所が発行する国民保険証や住基カードや印鑑証明らしい。これら全てが市役所で完結するなら、本人確認って一体何だろうと思ってしまう。住民票や印鑑証明は意外に公証性が低い。また、パスポートの取得に必要な戸籍にしても、虚偽の届け出は驚くほど簡単に受理されうる(ただ、本人確認できない届は、その担保として本人の住所あてに郵便で通知は送られる。虚偽であった場合は取り消しうる、という扱いだ。)。ある時点では嘘だったものが、住基カード国保証などで嘘を補強されて、いかにも本当のようになってしまうこともありえよう。それらがわらしべ長者のように市役所の中だけでも可能なのだ。それはともかく、偽造やなりすましに狙われるパスポートなんだけれども、その割に市役所のセキュリティは緩い。
外務省や県からの指導を見ると、どうもテクニックによるなりすましの阻止を目指しているように思える。いや、県の窓口ならいいんですよ。多数の申請を受け、経験を積めば、善良な日本人と、善良でない日本人と外国人の区別がつくでしょう。でも、一か月に3、4件の申請を受けるだけではそれは厳しいって。確かに私たちのような窓口ではほとんどが顔見知りのようなものなので、おかしな人が来ればすぐわかるでしょう。交通の便が悪いので、遠くに住んでいる人が申請に来るのは難しいでしょう。しかし、セキュリティ的にはどうかなー。
あと全然違う話で、電子証明書を代理で申請する場合には印鑑証明が必要ってのを今日知ったんだけど、印鑑証明って市役所でとるもんだから、ただ単に300円払えってだけじゃねーか。パスポートも本籍がうちの市にある人は戸籍を取ってもらうのが同じような感じにはなるけど、どんなもんなんだろうね。パスポートの申請を県で受ける時は住基ネット使っていいけど、市で受ける時は使ったらあかんのやって。住基は使っていいけど。つまり、どういうことかと言うと、静岡県内の自分の住んでる市以外で申請するときは、どこの市役所でもいいから広域交付の住民票を取ってね、ってこと。ああ、これもただ300円ちょうだいってことなのだ。
さらに言えば、市役所は全国全ての戸籍を究極的には参考にできるのだ。あと多分年金とか国保とかパスポートの発行記録とかも、かな。市役所が情報端末だとしたら、すごい情報にアクセスできるんだけど、誰がそれを理解し、制度を組み直してくれるのだろうか。セキュリティが微妙な気がする。