読んでいてブルーになる本だったので読まないほうがよかったのかなあ。とか思ってしまう。戸籍の仕事をする上で勉強になることは確かだけどね。
こないだも書いたけど、行政が個人情報を集めることに関して何もリスク感じてないのかが疑問。民間企業なんかでは個人情報を集めるリスクを感じてると思うんだけどね(逆にハイリスクハイリターンはある得るかもね)。行政だけは個人情報を集め、管理することが簡単だと思ってるんじゃないか。
国は市町村に集めさせ、管理させるから、そういうリスクやコストすらも感じてないと思う。そうじゃなきゃもう少し考えてもいいはずだ。何のために集めているか不明な情報が多すぎる上に、国は今まであったことを減らすことに対して抵抗があるのだろうな。
現状では、戸籍届をそのまま受け取ることってできないんですよね。戸籍制度を理解している個人ってのは皆無に近いから、必ず届書自体に訂正が必要になる。その過程で市町村職員が届出本人の個人情報を全部知ることになるんだけど、はっきり言って僕は知りたくないと思うね。必要がないことを守秘義務がある人間が知ってしまう負担ってのを国はわかっててくれているのだろうか。本当に気持ちが悪い。
この本自体はかつて自治体の担当者だった人が、その視点の延長で詳しく調べたものを書いてくれたような本で、その立場の上から記述に親近感を持てる。ただ、そこから先に右とか左とかそういうことも絡んできそうなのでそのへん僕ら現役の担当からはわからない。
現状の利害関係から言って、戸籍は本当に市町村がババを引いていると思う。そういう市町村からの反対意見がもっと出てもいいのではないか。市町村合併や人員削減などもあり、最近の戸籍は先任者が減り、兼任者が増えているようだが、そういう人間にとって戸籍事務は本当に負担だ。戸籍独特の考えがあり、理解が難しいところがある。戸籍は諸外国にない制度なのでなくなって欲しい。
あと個人的には、個人の名前を国が認める認めないってのは担当のレベルでは本当に苦しい。アルファベットでもいいのではないか、と思うがその場合はスペルミスがたくさん起きるだろうなあ。名前のことを魔法のように思いたくはない。もう少し個人情報を重視しない制度があれば、と思うけれども世論とはなっていないんだろうね。