ネット株の心理学 (MYCOM新書)

ネット株の心理学 (MYCOM新書)

ううむ。何とも難しい本だ。いや、読むのは非常に易しいのだけれど。
行動ファイナンスの視点から、基本的には投資はゼロサムゲームで、他の投資家の心理を読んだもの勝ち、みたいなお話。多分著者はその数値的な話とかも知っているのだろうけど、難しさを排除するためにこの本には書かれていない。よって印象としては「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話に聞こえてしまう。
実際に投資に勝つのはそういうことなのだろうけれども、それと「自分が勝つ」というのは全く違う。自分がネギを背負った鴨にならないための方法はこの本から見つけることはできず、自分で編み出すかもしくは他の本を読んで勉強することになる。それでも自分は鴨にならないと言えるのだろうか。
ただ、投資にゼロサムゲームの側面があることは否定できず、そこは目から鱗というか、見ておかなければならない部分だ。最終章がどんでん返し的に「みんながゼロサムゲームであることを気をつければ、逆説的に市場はゼロサムゲーム的側面が減り、資金供給や付加価値付与の場になるであろう」ということで締められている。少なくともどんな投資手法を取るであれこのようなゼロサムゲームであることに自覚的でいる必要がある。