大型店とまちづくり―規制進むアメリカ,模索する日本 (岩波新書 新赤版 (960))

大型店とまちづくり―規制進むアメリカ,模索する日本 (岩波新書 新赤版 (960))

往復21時間もあるから電車の中でけっこう読めると思ったんだけど、これ一冊しか読み終わりませんでした。そんなもんよ。
さて日本には大店法というものがあって、かなりの強さで大型店舗の出店を制止していた時期がある。2000年に大店立地法と変わってから、大型店に関する規制はほとんどなくなった。これはアメリカさんがねじ込んできた法律らしいんですが、当のアメリカでは元祖安売りウォルマートさんが猛威を振るっているので、大型店を規制する動きが盛んになっている、という。
さてこのウォルマート、一体どんな商法かと申しますと、「Everyday Low Price」を合言葉に巨大なボックス型店舗をドーン!と郊外に進出させる。そして逆フォードとも言うべきやりかた、つまりフォードが自分とこの労働者にたくさん賃金を払って自分とこの車を買ってもらったが如く、ウォルマートは自分とこの労働者に低賃金(ついでに低福祉)を払って自分とこの安売り品を買わせる。そして地域の小売店の賃金も自分とこに追随させ、低賃金労働者を大量に作り出し、自分とこの安売り品を買わせるという、まさに「貧乏を持続的に拡大するビジネスモデル」。
これが地域を破壊するものである、という認識を強くしての規制が強くなっているアメリカに対し日本はまだ無防備に近い。そもそもこの問題を認識しないと、都市のスプロール化とか対応できない。街中が空洞化とかそういうことがいいことか悪いことか、ロードサイド店がいいのか悪いのか、このへんを研究しないとまずいべ。今んとこ地方自治体レベルの話になっているようだけど。