自由という服従 (光文社新書)

自由という服従 (光文社新書)

社会学なのね・・・。いや、それ自体が悪いわけじゃないけど。たまに社会学という学問の浅さのようなものを感じるので。や、自分文系なんで、数式に弱いッス。サイエンティフィックだと無条件にひれ伏してしまうとこがあるの・・・。
というわけで、まあ読みやすく面白い本。題名が一番のメッセージで、中身はそれを色んな例を用いて証明していく、というもの。確かに自由って言われると困るんだよね。自由研究とかうんこ。スーパーフリーも今やちっとも自由がないじゃないか!!
例として出てたのが面白かったので、ちょっとそれに触れていこう。「抵抗する、という服従」の章で出ていたのがサボタージュするOL。参考文献が90年代のものだけど、今でも変わらない部分は多いと思う。つまりこういうこと。総合職(管理職になったりする方)が男性で、一般職(事務職かつあんま昇格しない)が女性という職場慣習がある。その中で労働に対する評価が給料その他評価に直結しない女性が、男性から委託された事務をサボることによって、逆に男性を支配できる(自由)というシステムが出来上がっているということ。そしてそれが今度は仕事をしない女性というイメージを作り、かえって自分たちを劣位におくシステムの再生産(ジェンダー・トラップというらしい)に加担していたことになるのだ。うわー、こういのって怖ぇー。
(そういえば昨日本屋で「だから女性に嫌われる」(梅森浩一http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569641148/ref=pd_rhf_p_2/249-0058188-3383550って本を立ち読みしたんだけど、男性が女性に嫌われないことに気を使う理由って結局こういう男尊女卑なシステムの中でのことなんだなー、と思って萎えた。現実的やな。)
他にも「自由恋愛、という支配」「一人前になる、という服従」という章があり、恋愛についての例と建築労働者を題材に取った例があり、なかなか興味深かった。
んで最後には自由という服従に対する身の処し方なんかにも触れてあったけども、それはまあ付則という感じだった。
個人的にはもっと選択することの恐怖について触れて欲しかったけど、それはどっか他の文献で読んだ気がするからいいや。http://d.hatena.ne.jp/totuka/20031013#1066032773あたりで。