日本シリーズ第5戦

痺れる試合だった。5回までの川上はまさに神がかっていて、ズバズバと見ていて気持ちいいぐらい決まる。対して得点の方はこれこそ「オレオレ詐欺」という、油断につけ込むインチキでもぎ取る。9回にはまさかの3、4番連発。そして顔見せ岩瀬。
中日は「オレ竜」「オレ流」と言われるけど、選手が主役なんです。それは選手を主役にできている監督の力が大きいけども。それこそ「10%の底上げ」とマスコミを煙に巻いた「オレオレ詐欺」のほうが正しいぐらい。選手全員が10%レベルアップできた気にもなってるし、そりゃ皆主役だわっていう。
選手がグラウンドに出ている間は選手が主役。それは選手が主体的に動けるよう、キャンプから順を追っていた監督のお陰。ところが監督がグラウンドに出ればやはり監督は主役だ。勝利インタビューには泣いたね。
「川上はナイスピッチングでしたね」「ローテーション守ってますから。それよりお客さんですよ」
おおおおー!!まあお客さんに僕は含まれてないんだけども、選手、コーチングスタッフ、お客さん、と幸せな相乗関係ができていて、だからこそ今年の中日は強かったんだ、と実感した。
落合監督は選手を批判することは一度もなかったし、お客さんに感謝しなかったことも一度もないんじゃないか。これはわかっててもできることじゃない。当たり前のことかもしれないが、すごいことだ。
第3戦の岡本を引っ張りすぎてカブレラに満塁ホームランを打たれて負けた試合も、よく聞くと落合は継投に失敗したとは言っていない。「変に動いて、ピッチャーに余計なプレッシャーを与えてしまった」ことが失敗だった、というようなことを言っている。確かに岡本続投ならプルペンから交代するピッチャーが出掛かる、ということはしないほうが良かっただろう。
あの場面、岡本続投がどうだったのかはわからないが、打たれて怒る選手はいなかったのではないか。岡本がいなければ優勝もできなかったのだし、岡本がいなければ日本シリーズも厳しい。だからこその岡本だし、落合監督の迷いだったのだろう。
とまあファンってのは気持ち悪いストーリーを平気で考えるものなんですね。ただ、あの岡本続投は責められないし、もし日本一になるとしたら、あれが大きかったんじゃないか、と個人的には思ったりします。
意味はないですが。