親指はなぜ太いのか 島泰三中公新書

霊長類にとって、親指が太いのはデフォルトではない。ましてや親指が退化してほとんどなくなっている猿さえいる。そのなかで人の親指はなぜ太くなったのだろうか?
まるで推理小説のような展開を辿り、謎が解けていく様は圧巻。面白かった。
話は筆者がマダガスカルで出会ったアイアイから始まる。アイアイの特殊な指の形を「口と手連動仮説」(霊長類は主食によって口と手を変化させるという仮説)によって説明し、さらにその仮説によって初期人類の主食に迫る。
ネタバレになるかもしれないけれど、筆者は初期人類の主食を「骨」だとする。これによって人類の非常に固く、臼のような歯の謎が解ける。そして筆者はそう予想したあとで実際に骨を食べてみるのだ!出た結論:食べれる。
骨にはかなりの栄養があり、しかも初期人類の生息環境に豊富にあった。人類はこれを主食とするために「骨を砕くための石を持つ手」を持ち、「骨をすり潰す頑丈な歯」を持った。これはかなり説得力のある仮説ではないだろうか?
とにかく僕はこの本を読んで興奮しました。おすすめです。